オオバコ/セイヨウオオバコ

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オオバコ科 Plantaginaceae
誰もが名前を知っている・・・雑草の代名詞のような草。が、セイヨウオオバコが多く侵入しており、オオバコと外観は同じで区別できない。
(両者共通)
葉は根際に集まって付き、卵形~広卵形で4-15cm、全縁で縁は波立ち、時に不明瞭な歯牙がある。縦に走る数本の脈があり、基部は5-10cmの柄となります。
花は10-20cmの花茎に穂状に付き、雌性先熟、花は下から咲き、膜質の花弁は雄性期に開きます。

相違点は「両者の区別点」タブ参照

 

2017.11.2 更新
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  • 全体3
  • 早春
  • 両者の区別方法
  • 参考

オオバコ-全体

最近は高山の稜線でも見られる雑草中の雑草。
(2014.5 千葉市)

オオバコ-全体

いくら踏まれてもちゃんと花は咲く。
(2006.10 千葉市)

オオバコ-花

花は下から咲き、写真では上1/4が雌性期、その下が雄性期の状態。
(2014.10 千葉市)

オオバコ-花2

雌性期の花。まだ花冠は開かず、柱頭のみ覗いています。萼は無毛のようです。
(2014.5 千葉市)

オオバコ-花3

下は両性期。柱頭が枯れる前に花冠が展開して花糸が伸びています。柱頭が枯れてから
花冠が展開(雄性期)するものも多い。(2007.7 千葉市)

オオバコ-実

果実は帽子状の部分が外れて種子をばらまきます。
(2017.11 千葉県 旧・成東町)

オオバコ-葉

葉は卵形で柄があります。
(2014.5 千葉市)

セイヨウオオバコ-全体
筆者がセイヨウオオバコではないかと思っていた型。
内陸部でオオバコと同一環境(乾地)にあり、トウオオバコのような姿であることが理由でしたが、これだけではオオバコと確実に区別できないようです。(2015.6 岩手県岩泉町)

オオバコ-早春

ロゼット径はまだ4cm。
(2017.2 千葉市)


近年の研究で、在来のオオバコは・・・「セイヨウオオバコの雑種から生じた種である」・・・とされ、オオバコとセイヨウオオバコは・・・「いろいろな図鑑に区別点は書かれていますが、実際には見た目での区別が非常に困難」・・・とされています。

「 」内は自然科学研究機構基礎生物学研究所と東京大学大学院理学系研究科の合同のプレスリリース(2009.9.1)より抜粋引用

筆者も以前、オオバコの割りには花茎の大きいものをセイヨウオオバコと捉えていましたが、上記リリースの添付写真では、花茎がオオバコより低いセイヨウオオバコが掲載されており、必ずしも区別点にはならないと思われます。また、萼の切れ込みの深さによる判定もかなり微妙なようです。

可能性のある見分けの方法は、唯一、果実にあるのではと思われますが、以前から言われている方法を以下に記します。

 
オオバコ
セイヨウオオバコ
トウオオバコ
 
(4倍体)
(2倍体)
(2倍体)
種子の数
6-8個
8-16個
10-20個
果実の横断面に含まれる種子の数
4個
6-7個
8-12個


但し、6倍体のオオバコ、6倍体のトウオオドコもあり、6倍体トウオオバコは4倍体オオバコとの交雑の可能性も指摘されており、6倍体オオバコと外観では区別できないとも言われます。そして、これらの種子の数は更に異なるそうですので、上記の方法も確実ではないようです。

身近にも、セイヨウオオバコが多数侵入しているかもしれず、知ってしまった以上、これからは「オオバコ」と断定するのもはばかられるように感じました。



オオバコ-参考
海から数十m上流の河原にあったもの。ふつうのオオバコにしては
かなり不自然さを感じました。厚みがあって光沢がある。トウオオバコのsynonymでテリハオオバコと言われたもの?それとも何かの交雑? (2015.8 青森県 旧・三厩村)