オオチチッパベンケイ

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ベンケイソウ科 Crassulaceae
チチッパベンケイのうち、植物体全体に乳頭状の突起が見られるものです。
丈は10-30cm、茎は斜上するか岩場から真横に伸び、乳頭状突起が密生してザラつきます。葉は互生から3輪生まで様々で多肉、卵形で先は鈍頭~円頭、浅い波状の鋸歯があり、基部は細まって柄状になります。チチッパベンケイに比してあまり灰色を帯びません。
花は茎頂に密な散房状に付き、ふつう5数性、花弁は3.5mmで淡黄緑色、葯はやや淡い赤色、花柄や萼にも突起が密生。

注:本種に関する特記事項を参照ください
茨城県A~Cは、数km離れた異なる場所の意味です。

 

2015.11.3 更新
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  • 茎3
  • 本種に関する特記事項

オオチチッパベンケイ

自生地と言われる場所で一生懸命探しましたが、
これ1株しか見つかりませんでした。(2013.10 茨城県A)

オオチチッパベンケイ-全体2

別の場所のもの。従来は茨城・福島各1カ所とされていましたが、もっとありそうです。
(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-全体3

更に別の場所のもの。ここが最も個体数が多く、まとまりがありました。
他の場所に比して少し葉に青みがある。(2013.10 茨城県C)

オオチチッパベンケイ-花

花はふつう5数性。が、4数性のものもあるようです。
(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-花2

チチッパベンケイと変わりないように見えますが、よく見ると・・・。
(2013.10 茨城県A)

オオチチッパベンケイ-花3

花柄、小苞に微細な乳頭状突起が密生しています。
(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-花4

柄に比して小さいが、萼にも乳頭状突起がある。花弁はうろこ状のように見えました。
下半にはまばらに突起のようなものが・・・。(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-花5

心皮にも突起があると聞いていましたが、相当小さいようで、
何かあるように見えても花粉と区別できなかった。(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-葉

鈍い鋸歯が見られます。チチッパベンケイほどには葉があまり
灰色を帯びないものが多いようです。(2013.10 茨城県A)

オオチチッパベンケイ-葉2

葉の基部。葉面全体に突起が見られますが柄状になった部分に顕著でした。
上に見える赤味を帯びたものは茎。(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-葉3
葉に縁に膜質のものがあり、ここにも突起が見られましたが、
この突起は他のものよりやや大きくまばら。
他地域のチチッパベンケイでも突起が見られることがあります。(2013.10 茨城県A)

オオチチッパベンケイ-茎

花序柄の基部。突起とも毛とも言えるようなもので覆われていました。
(2013.10 茨城県A)

オオチチッパベンケイ-茎2

木質化していない茎の下部。赤や黒の細かなイボ状のものが無数に見られました。
突起の大きさは指紋の溝の幅と同じ位。触るとザラザラする。(2015.10 茨城県B)

オオチチッパベンケイ-茎3

上部の茎は緑色ですが、3地点ともに黒い点がしばしば確認できました。
(2013.10 茨城県C)

本種は乳頭状突起が特徴とされておりますが、「植物体に乳頭状突起がある」とだけ書かれていて、どこにあるかについては記述されておりません。
筆者はそれを植物体全体に多いと解釈しましたが、特に、木質化していない茎から花柄に至る部分の突起をもって本種とするのが妥当であろうと判断するに至りました。(その前提で右のスペックを記述しています)

比較対象として、長野県産チチッパベンケイと比べると・・・
・チチッパベンケイの茎、花柄、萼には突起はない
・チチッパベンケイの葉の縁には突起が多少見られる

また・・・他のベンケイソウの葉にも突起状のものが観察される

故に葉の突起はベンケイソウの仲間に多くある特徴のように感じます。

本種には、萼、花柄、花序の柄、苞、小苞、木質化していない茎、葉(縁、基部付近の面)に乳頭状突起が認められますが、そのうち、茎から花柄に至る部分の突起が両者の差別点になり得ると考えます。

なお、これは特定の場所の少数個体の観察によるものであり、どこまで普遍性があるかは未知です。また、本種をチチッパベンケイのsynonymとする考え方もあることも付け加えます。 (2015.10.27 改訂)