イヌホタルイ

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カヤツリグサ科 Cyperaceae
ホタルイとよく似ますが、丈は20-70cmより僅かに大きい。茎には緩い稜が見られます。
小穂は茎の先に付き、0.9-1.8cmの長楕円形~狭卵形、時に卵形でホタルイより長い。鱗片は広卵形。花柱はふつう2、時に3。茎の先には茎と同形の苞が続きます。
よく似たホタルイは少し小型で、小穂は卵形、花柱は3、茎は円柱形。

 

2020.10.6 作成
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  • 本種の位置づけ

イヌホタルイ-全体

ヨシなどが見られない休耕田では、よく見られました。
(2008.8 千葉県四街道市)

イヌホタルイ-全体2

遠くから見ると、ホタルイと区別し難い。
(2008.8 千葉県四街道市)

イヌホタルイ-全体3

(2020.8 千葉県佐倉市)


イヌホタルイ-花

小穂は長楕円形~広卵形。
(2020.8 千葉県佐倉市)

イヌホタルイ-花2

この写真では、花柱2と3が混ざっているように見えます。
(2020.9 千葉市)

イヌホタルイ-花3

時々、こういうものがあって悩まさせられる。花柱2で茎に稜があるので、
おそらく本種だろうと思った。(2020.8 千葉県四街道市)

カンガレイ-茎

茎にはいくつかの緩い稜があります。カンガレイのようなエッジの効いた
明瞭な稜ではない。(2020.8 千葉県四街道市)

イヌホタルイ-茎

曲面もあり、断面は多角状の円形になる。
(2020.9 千葉市)

イヌホタルイ-比較

左:本種 右:ホタルイ
(2020.8 千葉県四街道市)

イヌホタルイ-比較2

左:ホタルイ 右:本種
(2020.9 千葉市)

イヌホタルイ-比較3

左:ホタルイはほぼ円形 右:本種
(2020.9 千葉市)

本種について、新「日本の野生植物」には掲載がありません。
おそらくですが、カヤツリグサ科の権威であり、元・国立科学博物館の大井先生の見解を踏襲し、ホタルイと区別できないとしたものと思われます。

が、近年、イヌホタルイは2n=74、ホタルイは2n=42 or 44 と報告されており、シカクホタルイ()の分類学的研究(2015.9 植物地理63 織田・永益)では「イヌホタルイとホタルイは別種である」と結論づけています。

何が正しいのか、筆者には正しく判りませんが、上記論文に従い、別種としました。(甚だいい加減だとは思いますが・・・)

なお、この他に、イヌホタルイはホタルイが田んぼのような人工環境に適応した変種であるという説もあるそうです。
いずれにしろ、有識者の間で見解が一致していない種であることは間違いないようで、今後再び変更されることがあるかもしれないと思います。

 シカクホタルイ (サンカクホタルイ) = カンガレイ x ホタルイ