ミヤマクロユリ

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 ユリ科 Liliaceae
黒百合伝説で有名な花。雄性両全性同株。(※)
丈は10-30cm、葉は披針形~長楕円状披針形で2-3段3-5葉が輪生状に付きます。
花は最上部の葉腋から柄を伸ばし、下向きに密に褐色の網目模様の入った花を1-2輪付けます。花被片は25-30mm。同じ株に両性花と雄性花をの両方を1つずつ付けることが場所によってはよく見られます。
なお、「クロユリ」の名称は、エゾクロユリを指す場合と本種を含む広義で用いる場合があり、本種のみでは使用されません。

※ 両性花と雄性花が同じ株に付くの意。植物の性の用語については、こちらをご覧下さい

 

2018.7.22 更新
  • 全体
  • 全体2
  • 全体3
  • 全体4
  • 全体5・葉
  • 両性花
  • 雄性花
  • 花3
  • 葉2
  • 「黒百合伝説」

ミヤマクロユリ-全体

花はやや下向きに咲きます。両性花と雄性花があります。
(2006.7 山形県月山)

ミヤマクロユリ-全体2

(2017.8 中ア・木曽駒ヶ岳)


ミヤマクロユリ-全体3

(2008.7 北ア・白馬岳)


ミヤマクロユリ-全体4

やや湿った草地などで見られます。周囲はキバナノコマノツメ
(2013.7 長野県木曽駒ヶ岳)

ミヤマクロユリ-全体5・葉

葉は中程で3-5枚輪生。最上部の葉は1枚のこともあれば3枚程度
輪生することもあるようでした。(2013.7 長野県木曽駒ヶ岳)

ミヤマクロユリ-両生花

両性花。月山ではこれだけのものが多かった。
(2018.7 中ア・木曽駒ヶ岳)

ミヤマクロユリ-雄性花

雄性花。花柱がありません。木曽駒では、雄性花の混じる個体が多く見られました。
(2017.8 中ア・木曽駒ヶ岳)

ミヤマクロユリ-花3

(2018.7 中ア・木曽駒ヶ岳)


ミヤマクロユリ-葉2

葉は披針形~長楕円状披針形、光沢は見られない。
(2008.7 北ア・白馬岳)

ミヤマクロユリ-葉2

(2017.8 中ア・木曽駒ヶ岳)


山に通うようになった10代の頃から、黒百合伝説というのは聞いていましたが、ほとんど内容は知りませんでしたので、近年気になり調べてみました。

<お話の概要・・・諸説の1つ>

越中の領主、佐々木成政に命を奪われた小百合という側室の女性の怨念・・・「立山に黒百合が咲いたら佐々木家は滅ぶ」と予言して、そのとおりになり、佐々木成政は自害したというお話。
(詳しくは・・・白山比咩神社のホームページでご覧ください)

ロマツンックな話を想像していましたから、実在の人物が多々登場する、ちょっと生々しく恐ろしいびっくりの伝説です。
佐々木成政といえば、山ヤには、真冬の北ア・ザラ峠、針ノ木峠を超えて徳川家康に嘆願に行ったことで知られます(今もこのルートに挑戦するのは危険なので、これも怪しげな伝説ですが・・・)。最終的に越中は豊臣秀吉に攻められて領地を取り上げられましたが、その時は命は救われたはずなので、黒百合伝説と史実は少し違いますね?

この伝説の黒百合は、立山産であればクロユリ(エゾクロユリ)ではなく、ミヤマクロユリということでしょう。知ってしまったことで、可憐なミヤマクロユリは今後おどろおどろしい「怨念の花」に見えてしまいそうで、知らなければ良かったと思った次第です。書いてしまってごめんなさい。