(雑) タマナルコユリ

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クサスギカズラ科 Asparagaceae
ユリ科 Liliaceae
ナルコユリミヤマナルコユリの自然交雑種。花期はミヤマナルコユリとほぼ同時期。
(観察による記述)
立ち姿はナルコユリに似てやや大きく、花が多数付きます。
個々のパーツはミヤマナルコユリに似ており、花柄はミヤマナルコユリ同様長いですが顕著に葉裏に沿わず、葉腋から出て斜め下に垂れ下がるように付きます。花は3-3.5cmの柄に(1)-2-6個ずつ付き、花の長さ2cm、花糸は下1/2が花被に合着し、合着部には乳頭状突起があり、離生部には短毛が見られます。
葉はミヤマナルコユリと同じか、僅かに細く、長さ6-8cm、幅2.5-4.5cm、卵形~楕円形状披針形、葉裏は白く、少し小脈が浮き出て小突起が見られます
ミヤマナルコユリは葉裏がほぼ平滑で、葉腋の少し上から直角に花柄が出る。花糸には長毛が密生する。ナルコユリは葉が披針形~狭披針形で葉裏の脈が浮き出て小突起があり、花柄は茎の下に下がり、ほぼ一列に並ぶ。

母種・父種との比較ページを作りましたので、こちらもご覧ください

 

2023.5.9 更新
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タマナルコユリ-全体

偶然見つけたもの。ナルコユリのように花が沢山付いているのに、花柄は左右に振られていて、葉の形はミヤマナルコユリでした。(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-全体2

上から見ると、葉はミヤマナルコユリに近く、花も左右に振られている。
これだけ見るとミヤマナルコユリに見える。(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-全体3

下から見ると、花柄が左右に振られてはいますが、葉裏には沿っていない。
(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-全体4

2つの矢印はいずれもナルコユリ。この周囲に沢山ありましたので、母種ナルコユリ
父種ミヤマナルコユリと想像しました。(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ

見つけてから6年たったが、個体数は増えもせず、減りもせず・・・。
(2023.5 千葉市)

タマナルコユリ-花

花柄は左右に振られますが、葉裏に沿わず、ループして斜め下に下がっています。
花は2-6個ずつ付いていました。(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ

横から・・・。ミヤマナルコユリのように葉には沿わない。
(2023.5 千葉市)

タマナルコユリ-花3
ミヤマナルコユリより太くてややずんぐりむっくりした印象がありましたが、
両者の花の大きさはナルコユリが平均して僅か大きいだけなので、どちら似とも言えない。(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-花4

どちらの種も同じようなもので違いはほとんど感じられない。
(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-花5

花糸は半分が花被に合着している。
(2018.5 千葉県A)

タマナルコユリ-花6

ミヤマナルコユリとは花糸に最も違いが見られました。
1と2は次以降のタブで拡大・・・(2018.5 千葉県A)

タマナルコユリ-花7

(1) 花糸の圧着部分の下部。乳頭状突起が見られました。ミヤマナルコユリでは
この部分にも長毛が見られます。(2018.5 千葉県A)

タマナルコユリ-花8

(2) 花糸の離生部分の下部。短い毛が見られました。
(2018.5 千葉県A)

ミヤマナルコユリ

ミヤマナルコユリの花糸。離生部の下部~合着部にかけて、長毛が密生しています。
(2018.5 千葉県A)

タマナルコユリ-実

1株に2-4個程度と花数が多い割りにとても少なく、稔性はよくないようです。
(2017.6 千葉県A)

タマナルコユリ-葉

葉は周囲のミヤマナルコユリに比してやや幅が狭い印象もありましたが、誤差範囲。
(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-葉2

葉裏は白っぽく、小脈は少し浮き出ています。
詳細に見ると・・・next タブ・・・(2017.5 千葉県A)

タマナルコユリ-葉3
ナルコユリとよく似ており、小脈上に小突起があり、面には編目状の組織がある。
ただし、突起はナルコユリより低い。
ミヤマナルコユリは小脈が隆起せず、小突起もない。(2018.4 千葉市)

タマナルコユリ-葉4

隣にあったナルコユリ(下側)との比較。葉の長さが短く、幅が太い。
(2017.5 千葉市)

タマナルコユリ-茎
花柄は短く茎に合着しますが、そのまま斜め上に伸び、ループしながら斜め下に下ります。
ミヤマナルコユリは、合着部分が多少長く、柄はそこから横に出て葉に沿う。
ナルコユリは柄は茎に合着しない。(2017.5 千葉市)

タマナルコユリ-展開中

この時点では、まだ花柄は左右に出ず、ほぼ真下を向いています。
ミヤマナルコユリは多少なりとも左右を向いています。(2018.4 千葉市)

2017.6 千葉県博により、本種であると確認をいただきました。(写真による判定、2018.7 標本のよる追認) その際、以下の文献をご提供いただきました。

アマドコロ属 (クサスギカズラ科) の種生物学的研究 Ⅴ.日本産の種の分類の改訂 (田村実)  Bunrui 8(2): 166-168 (2008)

最終的な決め手は、花糸の乳頭状突起、及び毛でした。

その後、葉裏の組織構造がよく似たミヤマナルコユリとは明らかに異なり、むしろナルコユリに近いことが判明しております。

2018.5.15 追記
千葉県内の他市町村で新たに1カ所、自生を確認しました。
さらに、本掲載の自生地付近でも、離れた1カ所で10株ほどの一群が見つかりました。
気づきにくいだけで、他の地域でも同様に見つかるのではないかと思います。
稔性は悪いながら、果実は付きますが、実生の形跡は今のところ認められていません。