コバナノタネツケバナ <暫定>

アブラナ科 Brassicaceae
アブラナ科 Cruciferae
丈は10-20cm程度の小さなタネツケバナ。ニワサキタネツケバナとも呼ばれ、コタネツケバナによく似て、茎が直立しない。
茎が基部で分枝して匍い気味に四方に伸び、次第に斜上します。茎の下部にはしばしば毛が見られる。ロゼットはなく、基部に付く葉は少なく、長い柄があり、多くは単葉。最下部を除く茎葉は羽状複葉、頂小葉がやや大きい。茎葉の小葉は3-9個。
花は小さく、花弁は2mm、雄しべは6、果実は長角果で茎から離れて付きます。種子には翼はない。
よく似たコタネツケバナは、茎は基部で分枝して地を匍い、無毛、葉は明るい緑色で基部の葉も羽状複葉、種子の周囲に薄い翼があり、茎はより匍う傾向が強いように感じる。

 日本の野生植物では、事実上、結論を保留している

 

2020.3.30 更新
  • 全体
  • 全体2
  • 花2
  • 花3
  • 実2
  • 葉2
  • 葉3
  • 葉4
  • 葉5
  • 葉6
  • 葉7
  • 以下詳細観察
  • s1
  • s1-2
  • s2
  • s2-2
  • s3
  • s3-2
  • コメント
観察継続中につき、修正する可能性があります。
コバナタネツケバナ-全体

以前、コタネツケバナではないかと思っていたもの。
茎は斜上気味に立ち上がる。(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-全体2

ロゼットは見られず、茎が基部から分枝して四方に伸ばしています。
この後、上に向かって伸びる。いきなり真っ直ぐ上に出る茎はない。(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-花

花はミチタネツケバナと同じくらいのサイズ。あまり小花という印象はなかった。
(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-花2

雄しべは6。
(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-花3

(2016.3 千葉市)


コバナノタネツケバナ-実

果実はタネツケバナと同じように茎からやや離れて付く。
(2016.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-実2

ほぼ熟した果実。果柄はあまり伸びないようだ。採取した個体で撮影。
(2020.2 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉

下部の茎葉。小葉の先はあまり尖らない。
(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉2

上部の茎葉。
(2016.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉3

茎や葉はふつう無毛。
(2016.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉2

所々に散発的に毛が見られたもの。下部に見られるものがいくつかあった。
(2015.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉5

若い株。基部に付く単葉が5つ見られますが、大きさ、柄の長さなどに差があり、
すべてが根生葉ではないと思われます。(2020.2 千葉市)

コバナノタネツケバナ-早春

長い柄を持つ単葉の根生葉が数個見られました。すでに横に走る茎が見られ、
茎の下部には毛が見られました。(2016.3 千葉市)

コバナノタネツケバナ-葉7

下部の葉の葉腋から発根していました。

コバナタネツケバナ-種

種子には翼は見られませんでした。
(2020.3 千葉市)

本ページのものは、従来、コタネツケバナとして掲載していましたが、2020.2 茨城県 旧・水海道市でコカイタネツケバナ(コタネツケバナのsynonym)の標本採取地を訪ね、異なるものと判断しました。

検討を進めるにあたり、自宅の庭にある数個体を採取して、主に茎の基部を中心に観察してみました。
以下はそのうちの3個体の写真です。




コバノタネツケバナ-S1

まだ茎があまり伸びていない若い株。
(2020.2 千葉市)

コバノタネツケバナ-s1-2

1は最初に出た葉、2は2番目と思われ、互生しているように見えますから、根生葉は1だけなのだろうか?更にこの2つの葉の葉腋から発根していました。(2020.2 千葉市)

ミバノタネツケバナ-s2

花が咲き始めたばかりの株。
(2020.2 千葉市)

コバノタネツケバナ-s2-2

茎の途中から発根し、そこに小さな単葉の葉が数個付いていた。これは、神奈川県植物誌にあるアキノタネツケバナの特徴に一致する。(2020.2 千葉市)

コバナタネツケバナ-s3

ある程度成長して既に果実も出来ている株。
(2020.2 千葉市)

コバナタネツケバナ-s3-2

下部の葉腋(痕)から発根している他、一部の根が太くなり、長く伸びていました。
根茎だとしたら、タネツケバナの名が付く種では、希有。(2020.2 千葉市)

 ニワサキタネツケバナ (C. af.) がコバナノタネツケバナ (C. manshurica) の synonym であるとする「日本の野生植物」の見解に従い、コバナノタネツケバナとしましたが、コバナノタネツケバナのスペックは不明で、内容はほぼニワサキタネツケバナです。

コバナタネツケバナとアキノタネツケバナは共通した特徴が多くあり、環境によって姿を変えた同じものである可能性があるのではと感じました。
ただし、この2種につき、「私の認識したものに誤りがなければ」という前提ですが・・・。