オオユリワサビ

アブラナ科 Brassicaceae
アブラナ科 Cruciferae
ワサビユリワサビの中間のような形態の植物。茎が斜上し、茎葉が卵円形~三角状卵形とユリワサビに似ていますが、根生する葉は腎円形で4-8cmと大きく縁には波状の鋸歯が見られます。丈もワサビとほぼ同じ30-50cmほどになります。
花もワサビとほぼ同じで5-6mm。冬は根生葉の柄の基部が紫色に肥大して残るという特徴はユリワサビに同じ。
絶滅危惧第3次リスト(2007)では「絶滅」とされていましたが、第4次(2012)ではランク外となり、普通に見られるありふれた野草とされています。(「経緯」タブ参照)

 

2015.3.4 更新
  • 全体A
  • 花A
  • 葉A
  • 全体B
  • 経緯

オオユリワサビ-全体
雪融けが進む日当たりのよい沢の上流部に2株だけ異質なものがありました。
ユリワサビより丈も茎葉もかなり大きいが、根生葉は柔らかでワサビとは違う。茎が
ユリワサビのように斜上するなどから本種ではないかと・・・。(2014.4 新潟県加茂市)

オオユリワサビ-花

花はワサビとほぼ同じ大きさ。
(2014.4 新潟県加茂市)

オオユリワサビ-葉

茎葉の形は卵円形~三角状卵形でユリワサビに良く似ていますが、
大きさは2-3倍違う。(2014.4 新潟県加茂市)

オオユリワサビ-全体B
こちらは上流部にある日当たりの良い川沿いにあったもの。オクノユリワサビの形質です。
近くの土手にはミチノクフクジュソウが群れているような季節で、まだ丈は小さいが、
根生葉は大きくて5-6cm、こんもり茂っていました。(2013.4 岩手県 旧・江刺市)

「絶滅」・・・とされていたものが一転、「ありふれた野草」となった変わった経歴を持つ面白さから、経緯を調べて見ました。

以前、本種とされたものは福岡市の北北西75kmほどの所にある沖ノ島(国土地理院の記載は沖島)に自生していたものが唯一で、1935年に発見されましたが、1963年の確認を最期に、その後、絶滅と確認されました。

が、2000年、オオユリワサビが岩手・秋田~島根・福岡まであるという発表がなされ、(Naruh., K.Umemoto & T.Wakasugi in J. P. T. 48: 147, f. 2 (2000))、2003年、Yonek. in J. J. B. 78: 357, f. 1 (2003)にて追認されるに至りました。

最近では、東北で以前、オクノユリワサビと言われていたものの多くは本種ではないかと言われており、北海道南部、青森などでは、ユリワサビ(またはオクノユリワサビ)とされたものは全て本種の誤認と言われています。(青森県植物詩)

<余談> 沖の島は「海の正倉院」として知られた島。また、日露戦争の日本海海戦を陸上から見る事が出来た島。現在は島全体がご神体とされ、一般人の島への上陸は許されていないそうです。(wikipediaより)
<追記> 2017年世界遺産に登録されたのは、まさにこの沖の島です。