カントウマムシグサ / (型)ムラサキマムシグサ

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サトイモ科 Araceae
東日本でよく見られる普通のマムシグサ。
花は葉の展開と同時かやや遅れる事が多い。
葉は小葉7-17枚で長楕円形、偽茎は葉柄や花柄より遙かに長くなり、褐色のマムシ模様が見られます。
仏炎苞は舷部と筒部がほぼ同長で、付属帯の先端が少し膨らむものが多いようです。仏炎苞が明るい緑色のものの他に紫色がかったものもあり、全体が紫色のものはムラサキマムシグサと呼ばれます。
マムシグサとの差異は釈然としませんが、本種のほうが花期が遅く、葉の展開が早い。マムシグサは四国・九州に分布し、東日本にはない。

 ムラサキマムシグサを分ける場合の学名。ムラサキマムシグサが基準種となり、本型はその品種になります。両者を分けない場合は、A. serratumの和種名はカントウマムシグサになります。紛らわしいです。

 

2023.5.6 更新
  • 全体
  • 全体2
  • 全体3
  • 花2
  • 花3
  • 花4
  • 花5
  • 偽茎
  • ムラサキマムシグサ
  • 同2
  • 紛らわしい学名

カントウマムシグサ-全体

里山などでよく見られます。
(2023.5 千葉市)

カントウマムシグサ-全体

里山などでよく見られます。
(2009.5 千葉市)

カントウマムシグサ-全体3

花は葉とほぼ同時に展開していました。
(2015.4 千葉県佐倉市)

カントウマムシグサ-花

(2009.5 千葉市)


カントウマムシグサ

雄花序。(写真はムラサキマムシグサ)
(2023.5 千葉市)

カントウマムシグサ

雄花序の仏炎苞下部、隙間があり、中から小さな昆虫が出てきた。出入口付近の白いものは花粉と見られる。写真はムラサキマムシグサ。(2023.5 千葉市)

カントウマムシグサ

雌花序。
(2023.5 千葉市)

カントウマムシグサ

雌株。仏炎苞下部に隙間はあったが、中は塞がれているようだった。
(2023.5 千葉市)

マムシグサ-実

(2017.11 千葉市)


カントウマムシグサ-葉

葉は2葉で鳥足状。
(2009.5 千葉市)

カントウマムシグサ-偽茎

名の由来のマムシ模様がある偽茎。
(2007.5 千葉市)

ムラサキマムシグサ-全体

仏炎苞全体が紫色のもの。カントウマムシグサに含める。
(2010.5 千葉市)

ムラサキマムシグサ-花

(2009.5 千葉市)


マムシグサ、オオマムシグサ、ホソバテンナンショウ、カルイザワテンナンショウ、ヤマジノテンナンショウに本種と同じ Arisaema serratum と略した学名が用いられることがあります。

が、省略した部分に差異があります。

本種 : Arisaema serratum (Thunb.) Schott

その他 : Arisaema serratum auct. non (Thunb.) Schott

差異の"auct."とはauctorum の略で、当初の論文と異なる内容のものに対する名であることを示しており、この場合、(Thunb.) Schott の論文の内容ではない(non)・・・別の種ということになります。

つまり、カントウマムシグサ以外で "Arisaema serratum" と記述された論文等は全て誤りであることを記録として残して注意喚起したものですので、安易に略すと真逆の意味になってしまいます。