ヤマトグサ

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アカネ科 Rubiaceae
ヤマトグサ科 Theligonaceae
丈は10-20cm程度、下部の葉は卵形で翼のある柄があり、対生します。
花は葉状の苞に対生するように1-3個付き、花弁がなく、雄花はくるっと巻いた萼(外花被片)に花糸がぶら下がりますが、雌花は小さく、ほとんど気づけません。
花がないとハシカグサに酷似しています。

 

2016.5.24 更新
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  • 日本初ではない?

ヤマトグサ-全体

湿った林内のやや明るい陽の差す場所などに群れていました。
上部では分枝しないようです。(2014.5 神奈川県箱根町)

ヤマトグサ-全体

数十年ぶりに千葉県内の自生を見つけて報告した時のもの。
(2012.4 千葉県)

ヤマトグサ-全体3

上は蕾で、意外と長い。
(2012.4 千葉県)

ヤマトグサ-全体4

花は葉状の苞に対生して1-3個ずつ付きます。
(2014.5 神奈川県箱根町)

ヤマトグサ-全体5

花(雄花)はおそらく開花直後。葯は裂開前。
(2012.4 千葉県)

ヤマトグサ-花

雄花。花弁はなく、3枚の萼がクルクルっと丸まり、花糸が垂れ下がります。
(2014.5 神奈川県箱根町)

ヤマトグサ-花2

矢印が雌花の、おそらく花柱。小さくて目立ちません。
(2014.5 神奈川県箱根町)

ヤマトグサ-花・葉

咲いたばかりの花。葯はまだ裂開していないようです。
(2016.5 静岡県富士宮市)

ヤマトグサ-葉

下部の葉は対生し卵形で翼のある柄に続きます。基部に膜質の托葉が見えます。
(2012.4 千葉県)

ヤマトグサ-葉2

上部の葉は対生せず、柄はごく短い。
(2016.5 静岡県富士宮市)

ヤマトグサ-葉3

葉の表面や縁にはまばらに毛が見られます。
(2016.5 静岡県富士宮市)

ヤマトグサ-茎

茎には片側に偏って毛が見られます。
(2016.5 静岡県富士宮市)

ヤマトグサ-春

まだ花芽はついていないので、ハシカグサと見分けにくいですが、
茎に稜がないことを確認すれば間違いない。(2018.5 神奈川県箱根町)

牧野富太郎により、日本人が初めて学名を付与した植物とも言われる植物ですが、どうやら少し違うようです。

高知県立牧野植物園のホームページによれば、1889年、「「植物学雑誌」第3巻第23号に大久保三郎と日本で初めて新種ヤマトグサに学名を付ける。」と記載されています。
おそらく、これを受けて、山渓ハンディ図鑑(旧版)等でも「明治20年、牧野富太郎が日本人として始めて学名を付けた記念すべき植物」と記しています。
が、1889年は明治22年であり、両者は矛楯しています。

Y-listを見ると、in Makino in B. M. T. 3: 5 (1889, njn), "Thelygonum"; (B. M. T.= 植物学雑誌 -日本)との記述があり、1889年が正しいようです。
明治20年(1887年)については、「Type: Kochi (Tosa), Agawagun, Nanokawa-mura (T.Makino, Nov. 1884, TI). = Thelygonum sp.; Makino in B. M. T. 1: 169, t. 20 (1887)」 とありますので、1884年に採種し、1887年(明治20年)に植物学雑誌創刊号で発表したということのようですが、学名はまだ付与されていなかったようです。

一方、1875年に発見されたトガクシソウ(トガクシショウマ)は、紆余曲折の末、伊藤篤太郎 (後に東北帝大講師)によってに学名が付与されたようで、Y-Listでも、J. Bot. 26: 302 (1888); と記載されています。(j. bot. = Journal of Botany, British and Foreign -英国) なお、同定は東京帝大・矢田部良吉の依頼を受けた、当時日本の植物の研究者ロシアのマキシモヴィチでした。

それにしても、1889年は明治22年・・・大日本帝国憲法が公布された年。近代日本の黎明期にもう、植物研究がされていたこと自体が驚きです。

Wikipedia、Y-List、高知県立牧野植物園のホームページを参照して記述しました