トウダイグサの花の構造と違い


1.花の構造

トウダイグサ属の花は、全体として複散形状に展開する集散花序に付きますが、個々には杯状の花序に付きます。
1つの杯状花序は、ふつう、1つの雌花と数個の雄花からなり、基部は総苞に包まれ、その外側に苞葉が1つ付きます。
総苞は一体でふつう、逆円錐状、またはコップ状、先はふつう5裂(総苞裂片)、裂片全体で開花前の花序の上部を覆います。
裂片の間には、4-5個の大きな腺体が付きます。
雄花は多くは花序に4-5個付き、それぞれ1つの雄しべからなり、花弁も萼もなく、葯は2つ。
雌花はふつう花序に1つで、花弁はなく、子房は3室、花柱は3つで先が2裂します。


(写真:タカトウダイ 雄花は未開花の状態) 

1.苞葉 葉の変化型で、蕾の時、杯状花序全体を包みます。
2.腺体 多くは花序に4つまたは5つ。腺体の形は見分けるための重要なポイント。
3.総苞裂片 花序の基部にある総苞の裂片でふつう5つある。総苞は全体が逆円錐状~コップ状の一体。本来は先が鋸歯状、毛がある、そもそも裂片がない等、見分けのポイントの1つですが、フィールドでの観察は見誤りやすい。
4.雄花 花序に4つまたは5つ。雄しべ1つで萼も花弁もありません。葯が2個付く。
5.雌花 花序に1つ。ただし最初に咲く花序には付かないものが多い。
6.子房 突起や毛の有無は見分けるための重要なポイント。3室に分かれており、突起があれば3カ所にある。


2.見分け方

多くのトウダイグサ属の植物は、1.腺体の形、2.子房にあるイボ状突起や毛の有無、3.葉の順で区別すると容易です。
以下のチャートは、目視可能な範囲で見分け安さを重視したアバウトなもので、図鑑等に掲載のチャートとは異なります。
ここでは東日本に自生するもののみで、ニシキソウの仲間は省きました。

1.腺体が広楕円形
  2.子房は平滑・無毛 ・・・・・ トウダイグサ
  2.子房にイボ状突起があって無毛
    3.苞葉が鮮黄色 腺体は平滑 花期は3-5月 ・・・・・ ノウルシ
    3.苞葉が鮮黄色 腺体が少し凹む 花期は6-7月 ・・・・・ フジタイゲキ (未掲載)
    3.茎が有毛で、葉裏にまばらに毛があるか無毛 花期は7-9月 ・・・・・ タカトウダイ
    3.茎が無毛であるか、葉裏に軟毛が密生するかのいずれか 花期は4-6月・・・・・シナノタイゲキ 
  2.子房にイボ状突起と長毛がある ・・・・・ ハクサンタイゲキ
1.腺体が三日月形で、先に付属体が付く (角状に長く尖る) ・・・・・ ナツトウダイ
  2.腺体が小さい ・・・・・ヒメナツトウダイ ※2
1.腺体は三日月形で、先に付属体はない (あまり尖らない) ・・・・・センダイタイゲキ
1.腺体が腎円形 ・・・・・ マルミノウルシ
1.腺体が椀状(中央部が凹む)の腎円形 ・・・・・ イワタイゲキ


 シナノタイゲキは、茎が有毛であれば葉裏に毛が密生しますが、中には茎が無毛のもの(かつてエチゴタイゲキと呼ばれたタイプ)もあり、その場合は葉裏も無毛です。
※2 総苞裂片の先端形状でタカトウダイと区別する考えがあり、これに従えば腺体の大きさだけでは区別できません。が、裂片は小さくて見えにくく、かつ雄花開花後まもなく劣化するので、フィールドでの観察はそうそう容易ではない。