オオシバナ(マルミノシバナ) またはシバナの別形状

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シバナ科 Juncaginaceae
汽水域の植物。
葉は線形で長さ20-50cm、幅1.5-5mm、先端はやや鈍頭、葉の断面は半月形、基部は膜質の葉鞘にくるまれています。
花序は10-25cm、葉とは別に立ちあがり、多数の花を総状に密に付け、花には短い柄が確認できます。苞や花被はなく、心皮6、雄しべ6で葯は舟形の葯隔付属突起にくるまれています。
非常に良く似たシバナは宮城県以南の汽水域にあり、全体にやや小型で葉は線形ながら扁平な面の幅が少し広く、果実が長楕円形。ホソバノシバナは山地の淡水域にあります。

※1 日本の野生植物ではシバナとオオシバナを分けない見解
※2 岩手県は2014年のリストより、シバナとしたものをオオシバナ(マルミノシバナ)に訂正している。なお、青森県八戸市以南は津波の影響を大きく受けており、その後の防潮堤工事等で多くの自生地が消滅した模様。

 

2019.7.8 更新
  • 全体
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  • 花2
  • 花3
  • 葉2
  • 葉3
  • 葉4
  • 付記

オオシバナ-全体

多くはこのようにビッシリと群れていました。丈は30-50cmほどありました。
(2013.5 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-全体2

果実の状態。
(2015.6 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-全体3

海岸付近の湿性地などで見られましたが、岩手県以南では、先の震災で自生地の多くが
失われ、復元も思うようにいかないようです。(2013.5 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-全体4

ホツンとあった個体。このようなものは小さいものが多かった。花茎は葉と別に立ち上がって
いました。周囲にあるのはエゾツルキンバイヒメキンポウゲ。(2013.5 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-全体5

(2019.7 青森県六ヶ所村)


オオシバナ-花

花は雌性先熟で写真は雌性期。花は6心皮からなり、花柱先端は円心状に裂けます。
(2013.5 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-花2
雌性期の花。心皮数は6個。赤味を帯びているのが花被で
その内側に葯があります。雌性期では花被は開かず、雄性期になると外花被片が開き
花粉が蒔かれます。写真は茎の先端の花。(2016.5 青森県八戸市)

オオシバナ-花3

雄性期の花。外花被がお椀状に開くと、中に葯が見えます。
(2016.5 青森県八戸市)

オオシバナ-葉

葉は線形で長さ20-40cm。断面は半月形。
(2015.6 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-葉2

葉は表面が扁平で凹凸がほとんどない。裏面が丸く、断面が半月状になっています。
(2015.6 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-葉3

葉の基部は膜質の鞘に包まれています。
(2015.6 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-葉4

葉は2枚の平な表面が合わさって出ていました。これが葉の断面が半月状である
合理的な理由の1つなのかもしれません。(2013.5 青森県六ヶ所村)

オオシバナ-実
果実は卵形で「マルミ」の名の所以。良く似たシバナは長楕円形。いずれも短柄がある。縦の線は熟すに従い深くなって、バラバラにこぼれる。果実の基部にある突起は雄しべの脱落した跡。最上部のチューリップ形の片の上に柱頭が付いていた。(2015.6 六ヶ所村)

このページのいくつかの写真は、従来、「シバナ」としてしていましたが、東北北部のものは全て本種であるとの見解に従い、修正しました。

岩手県は最後までシバナとしていましたが、最近、訂正されたことが確認できました。
八戸・階上のものについても、環境省・三陸復興国立公園の書面上で、オオシバナと記載されています。

なお、シバナとオオシバナの名に混乱があり、同一種との誤解があるようなので以下に記します。
従来、在来の汽水域のものはT. maritimumでまとめられていましたが、後に北日本以外のものは満州のT. asiaticaと同一とされるようになり、「シバナ」の和種名をそちらに譲り、本種にオオシバナ(マルミノシバナ)の名が与えられました。学名はmaritimum → maritimaに改められましたが、ラテン語文法を訂正した(女性名詞に改めた)もので、内容はほぼ同一のようです。染色体もシバナ2n=48,オオシバナ2n=120とされます。

なお、震災前まではシバナは宮城以南・以西に分布し、オオシバナは福島以北に分布していましたが、津波により東北地方の両者の自生地の多くが土壌ごと失われており、現状は不明です。(茨城・千葉の太平洋側は津波以前に絶滅)

追記(2019.3) : 近年再び両種は同じものとする見解があり、新「日本の野生植物」ではその見解を採っています。この新説では、従来同一とされた時に使用されたT. maritimum(またはT. maritima)ではなく、T. asiatica の学名が使用されます。