アヤメ / シロアヤメ

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アヤメ科 Iridaceae
葉は長さ30-50cm、幅0.5-1cm、中脈は目立たない。
花茎は30-60cmで花径8cm前後、外花被片は広倒卵形で爪部に黄色と紫の繊細な模様があります。内花被片は楕円状倒披針形で直立します。花柱上部は3裂し花弁状、先端が小さく2裂し、更に歯牙があり、裏面に雄しべが沿います。
古来より愛されてきたアヤメは、サトイモ科のショウブセキショウと混同されてきた。アヤメを「菖蒲」と書くのは古代の人々の誤解や錯誤、「あやめ」の語源もノハナショウブ

 

2021.6.24 更新
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  • シロアヤメ
  • 名前の経緯

アヤメ-全体

元、湿地のような場所です。
(2011.7 長野県湯の丸高原)

アヤメ-全体2

(2018.6 長野県 旧・真田町)


アヤメ-全体3

これは園芸改良種かも・・・。編み目部分が少し小さい。
(2007.4 千葉県・旧佐原市)

アヤメ-全体4



アヤメ-花

外花披片の編み目紋様が目印になります。内花被片は大きく、ふつう直立して目立ちますが、風や雨が強かったりすると折れてしまうこともあります。(2008.7 裏磐梯)

アヤメ-花2

茎の上部の苞から1-3つ程度の花が順に咲きます。
(2016.6 長野県 旧・真田町)

アヤメ-花3



アヤメ-花4
外花被片の細まった部分に文様があり、これを「綾目(あやめ)」模様と称したのが語源という節もありますが、葉がよく似たショウブの古代名の「あやめぐさ」に対する名(あやめばな)を語源とするのが素直に納得できる。(2016.7 岩手県岩泉町)

アヤメ-花5

花弁化した花柱の裏に沿うように雄しべが伸びています。
(2018.6 長野県 旧・真田町)

アヤメ-葉

(2007.5 千葉市) <植栽>


シロアヤメ

(f. albiflora)ふつうのアヤメ群落の一角で見られたもの。斑も見られませんでした。
花被がやや細いですが、ここのものは普通のアヤメも細かった。(2016.7 岩手県岩泉町)

古来より愛されてきたが故に、誤解などにより読みなどが変遷して今日に至っています。好奇心からアバウトにまとめてみました。
(以下、カタカナ表記は現代の種名、ひらがな表記はそれぞれの時代の読み)

セキショウ : 漢名は「石菖蒲」「菖蒲」。中国で端午の節句に用いられたものはこちら。(古代中国では「菖蒲」はショウブ属を総称して用いられていたようで、最も薬効のあるものは「石菖」と言われ、これを「菖蒲」と狭義的に呼ぶこともあったらしい)

ショウブ : 漢名は「白菖」「水菖」「菖蒲」。古代中国では、白菖と水菖は別のもので、「菖蒲」は総称のようです。日本古来の和名は「あやめぐさ」。漢の時代に始まった端午の節句を日本でも行うにあたり、「菖蒲」の字が使われ、読みも「しょうぶ」と改められたようです。が、本来セキショウのつもりが誤ってショウブが用いられ、そのまま引き継がれて現代でも日本の端午の節句はこちら。

アヤメ : 葉がショウブに似ていることから、古来から「はなあやめ」と呼ばれ、「あやめ」とも呼ばれていたたようです。指示によりショウブに「菖蒲」の字がはめられましたが、民衆は「あやめぐさ=菖蒲」を「はなあやめ=菖蒲」と誤解し、「菖蒲」も「あやめ」と読まれるようになりました。この「あやめ」にはノハナショウブが含まれるようです。

その後、「あやめ(菖蒲)」は「はなしょうぶ(花菖蒲)」と呼ばれるようになり、江戸時代は「あやめ(菖蒲)」はカキツバタやその他アヤメ属を含めた総称となったようです。その名残が、「菖蒲園」の実態と符号しているように思います。

ノハナショウブ : 近代に入ってから、アヤメと園芸種が分けられ、園芸種「はなしょうぶ(花菖蒲)」と区別するために「ノ(野)」が付けられたようです。

カキツバタ : カキツバタのページ 「杜若」も誤解によるもの のタブを参照

以上、図書やwebに掲載された記述を参考に、15.4.8 に一部修正させていただきました。