地質2 フォッサマグナ

2.フォッサマグナ
7.火山
     

フォッサマグナ
この図は、独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターの地質図を元に、新たに作成しました。柏崎-千葉構造線及び中央構造線の破線部はおおよその位置であり、正確なものではありません。秩父(島)の形状については、筆者の想像に過ぎません。
   日本海が形成される際に、日本列島が大陸から切り離されて南西日本弧が南に、東北日本弧が東に押し出されたために、両者の境界面が大きく割れて出来た大地溝帯。西側の線は糸魚川静岡構造線と呼ばれてよく知られていますが、東側は火山や堆積などで不明確になっていて、柏崎-千葉構造線が最近の有力説になっているようです。
フォッサマグナの前後は植物境界となっているものが多く、特に糸魚川静岡構造線のすぐ西にそびえる北ア・南ア山麓を南限とする植物は多く見られます。 さらに、フォッサマグナ帯の南部には固有種が多く見られ、これらを「フォッサマグナ要素」と呼ばれますが、この地域には伊豆島嶼の衝突により、海洋性植物が流入したことなども要因ではないかと思います。

秩父地域
   フォッサマグナが出来て日本列島が2分される際に、中央南部にカケラが島として残りました。それが現在の秩父・・・大月市、相模湖の北から群馬県富岡市の南部にかけての地域になります。この地域は、周囲がフォッサマグナの中に出来た火山や堆積地であるのに対して、大陸時代の古い地層が残ります。また、中央構造線のすぐ南側に当たるため、付加コンプレックスの地質であり、この地層地域で見られる石灰岩や蛇紋岩の特有の植物が多く見られます。

伊豆島嶼の衝突・・・フォッサマグナ要素  
   フォッサマグナの開口部に向かって、これまで大きく分けて3回、伊豆島嶼が衝突してきました。最初の衝突は、甘利山、櫛形山で、2回目が御坂山塊、3回目が丹沢地域、そして今、伊豆半島が衝突中です。
これらの衝突により、中央構造線は大きく北にねじ曲げられ、丹沢のあたりにあったと言われる秩父地域を北へ押しやりました。また、南ア地域を3000mの高峰に成長させました。活断層である糸魚川-静岡構造線も押されて、甘利・櫛形山付近で西に回り込むように屈曲しています。

この衝突により、海洋性植物の流入などによって、フォッサマグナ南部・・・山梨県、静岡県東部、神奈川県西部地域には固有の植物が多く見られ、「フォッサマグナ要素」と呼ばれます。特に丹沢西部、箱根、愛鷹、三ッ峠山周辺などは興味深いです。この地域の中央にある富士山は極めて新しい火山のため、この要素の植物は見られません。