地質4 蛇紋岩

4.蛇紋岩
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蛇紋岩とは
標高1300m付近が森林限界で、線状に綺麗に分かれます。森を抜けるといきなり木が全く見たあらず、大きな岩が積み重なる蛇紋岩の崩壊地で、それを越えると蛇紋岩帯となります。(早池峰山)



この図は、独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センターの地質図を元に、新たに作成しました。

<参考>蛇紋石の元となるカンラン石は一部が宝石として珍重されています。8月の誕生石ペリドットがそうです。また蛇紋石もサーペンティンと呼ばれます。このコーナーを書くにあたり、はじめて知りました。
   蛇紋石(結晶体)を多く含む岩石。 地殻の下、マントル上部はカンラン石と輝石で構成されています。これらの石は結晶体で、マグネシューム、鉄と結合したケイ酸化合物です。このカンラン石などが地殻変動などで地表(海底)近くに出ると、水と反応して、蛇紋石と磁鉄鉱を生成します。
日本で見られる蛇紋岩は、蛇紋石だけでなく、磁鉄鉱や玄武岩などの他の海底起因の岩石も含まれており、ニッケルやクロムなどの重金属類が含まれます。大抵磁鉄鉱の酸化作用で風化した表面は赤味を帯びた色ですが、中を割ると蛇紋石独特の緑色をしています。  なお、地質表記では超苦鉄質岩と表記されますが、多くは超塩基性岩であり、両者ともに多くの場合蛇紋岩を指しますが、この3つは同義語ではありません。

マグネシウムは本来、植物に不可欠な栄養
   誤解されがちですが、蛇紋岩に含まれているマグネシュームは、植物の光合成に欠かせない葉緑体の主要成分です。また、リン酸の吸収を助ける役割をします。ですから、植物には不可欠で、窒素、リン酸、カリウムに加えて化学肥料などには必ず入っている成分の1つです。

何故、蛇紋岩は植生に影響するのか
  マグネシュームは水に溶けやすい鉱物ですから、蛇紋岩帯の土壌には過剰にマグネシュームが存在します。少量ならば有益ですが、多量にあると浸透圧に影響し、水の吸収を妨げたり、根を痛めたりすると言われます。
人にとっても同じで、マグネシウムを多量に摂取すると、腸での吸収が妨げられますので、これを利用して、便秘の時などに用いる緩下剤として利用されます。

充分に水が吸収できない植物は生育出来ず、耐えうる植物、または、それに耐えうるように変化した植物だけが見られるようになります。
蛇紋岩地には共通して樹木がほとんどなく、特有の植物や固有種が多いのはそのためです。


その他
  蛇紋岩は多かれ少なかれ蛇紋石の結晶体を含んでいるため、風化していない表面はツルツルで固く、非常に滑りやすくなっています。谷川岳西面のスラブなどは、毎年の雪崩で更にツルツルに磨かれているため、滑り易く、事故が多発します。雨に濡れるとツルツルで登山靴などでも容易に滑ってしまいますから、下山時には注意が必要です。できるだけ靴裏を濡らさず、斜めになっている足場を避ける、人がよく踏んで磨かれている所は特に注意する、などされると良いと思います。