地質5 石灰岩

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石灰岩とは
  海洋プレート上のサンゴ類の堆積層がプレート衝突面で削れて陸側プレートの渕に蓄積された付加コンプレックスの堆積岩。
日本列島が大陸の一部であった頃は、まだ太平洋はなく、ユーラシア大陸と北米大陸は一体で日本は赤道やや北に位置していたと考えられています。日本で見られる石灰岩の多くは、南半球の島嶼の周囲などにある珊瑚礁が、イザナギプレートと呼ばれる古いプレートに載って日本列島の元となる大陸に衝突し、その後の地殻活動で地表に現れたものと言われています。従って蛇紋岩の見られる場所と近い位置にある場合が多いようです。
東日本は西日本に比べて少ないですが、岩手県の北部北上帯北部、中央構造線の南側(埼玉県西部、長野県南部)と、栃木県南部、北ア最北部などがあります。特異な植物が多く見られ、北岳山頂南側のお花畑も一部は石灰岩帯です。



石灰岩帯は多くはセメント材料として採掘されており、車で行けるような所はことごとく採掘場になってしまっています。天然の露頭を見られる場所はそれほど多くはないですが、少し山に入ればこのように見られる場所もまだ残っています。表面は苔などで多少黒ずんでいますが、崩れたばかりの所はかなり白いので、一見してわかります。この下部の崩壊堆積地などでも石灰岩を好む植物はよく見られますが、岩質が脆いので落石に注意が必要で、雨中、雨後は危険です。(南ア)
植物に与える影響
  一般的な日本の土壌は弱酸性を示しますが、石灰岩は弱アルカリ性であるため、ふつうの植物の生育には適しませんが、積極的に弱アルカリを好むものもあり、さらには一般の土壌での競争で劣勢の植物などが耐えるように変化して、競合の少ない石灰岩地で生き延びたりしており、これらを総称して好石灰岩植物と呼びます。
北岳の固有種であるキタダケソウは、図鑑などに好石灰岩植物であるとの記載は見られませんが、狭い石灰岩バンド付近にのみ自生しており、石灰岩に逃げ込んで生き延びているように見えます。また、北ア北部にあるミヤマナデシコ(筆者はまだ見ていません)などは、山麓にシナノナデシコが沢山あることから、積極的に石灰岩対応した植物ではないかと、勝手に想像しております。