学名の見方10


0.学名略号一覧

10.記号・略号一覧 (便宜的、慣用的に使われるものを含みます)

◆ 分類の記号
subsp. (subspecies) 亜種=基本種や他の亜種と分布が共通でない変異種 ssp.と略される場合も多い。
var. (variety) 変種=基本種や他の亜種・変種と共通した分布をする変異種
subvar. (subvariety) 亜変種=変種を複数に再分類する場合に用いる (滅多に使用されない)
f. (form) 品種=上位種と異なる形態を持つが、生殖的に隔離されていないもの
Sect. (section) 節=属の細分類 更に Subsect. (亜節)と分ける 本サイトでは明示していない
s. l. (sensu lato) 広義 複数の種の総称として認められたものの学名。学名の最後尾に付けます
s. str. (sensu stricto) 狭義 種のうち、ある特定の特徴をもって範囲を限定したものの学名。

◆ 交雑種などで用いられる記号
x   交雑種 既存の種が交雑種と判明した場合は"<属名> x <小種名>"、初めから交雑種と判明していれば両種の学名の中間に挿入されます。
notho-   「偽」の意味 交雑種などで変種以下に相当する場合、nothovar. / nothof. のように使われます。

◆ 園芸、栽培種などで用いられる記号
'...' または cv. 園芸・栽培種 従来はcv.で記載されていたようですが、改められたようです。...の部分に園芸・栽培種名が入ります。
-cultorum 「栽培」の意味。園芸種など、多様な種を総称する時によく用いられており、<属名> x <小種名>-cultorum のように記述されます。学名の代用と思われ、"<学名> <小種名> Groupe" と表記されることも多いようです。

◆ 不明な種などで使われることの多い記号
sp. (species) 「種(しゅ)」の意味です。種名が特定されないもの、正式の学名が付けられていないものを"<属名> sp. " で表示したりします。
spp.   上記の複数形。**属の複数の種を総称したり、不明種が見つかったというような場合に使います。
aff. (affinity) 「類似」の意味です。この記号のあとに記載されている<小種名>に近似のもの。 <属名> sp. aff. <小種名>で記述されます。

◆ 著作者や記述、解釈に関わるもの
    種名、亜種・変種・品種・園芸種名の後に登録者名が記述されます。
著作者は( )内が元となる論文の原記述者で、その後に記された人が正式な記載者。同一ならば後者のみ記載します。
書き換えられた学名などの場合は、( )内は以前の学名の登録者の名になります。
著作者は省略することが許されており、本サイトでは全て省略しています。
hort.  (Hortorum) 命名規約に基づかない記述 hort.ex AAA などと用いられます。
auct. (auctorum) 学名の内容と異なる場合、誤っている場合に付されます。auct. AAA non BBB (AAA と BBB は異なる著作者)の形式で記述され、BBBの学説(本来の学名の学説)ではなく、AAAの学説の意味
excl. typo (exclude)
(typographic error)
しばしば続けて使用されます。記述ミスがあり、その種の学名としてふさわしくないことを表明しており、多くの場合、別の種の学名として用いられています。
nom. nud. (nomen) (nudum) 裸名。仮名。要件を満たしていない、正式な学名ではないことを示します。

◆ 学名の解説などに使用されるもの
標準 文字通り、現在使用されている標準学名です。
Synonym 同種別名のことです。「しのにむ」と読みます。別種と統合されたり、属が変更されたりしたときの以前の学名などが多いようです。
広義 s. l. と同様
狭義 s. str. と同様
異分類 上位に位置する種の学名と整合性がとれない学名。近い将来新学名に更新されるか、更新されなければ事実上種として否定されている可能性がある。


ご注意
・以上はこのサイトで使用しているもののみです。他にもいろいろあります。


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