学名の見方1.2

学名はとっつきずらいですが、学名からわかることは沢山あります。とてもうまく整理されているので、花探しや種の確認にも便利です。
私も詳しく知っているわけではありませんが、わかる範囲で学名の見方を書いてみました。

1.学名とは


1.学名とは

学名とは、国際的に統一された規則に基づいて銘々された種名です。日本以外の国にも「通称」はあるようですが、多数の種では「種名」は学名とイコールになっているようです。

学名は縁遠いと思われる方も多いと思いますが、意外と身近に存在し、一部を切り取って日常普通に使っています。

園芸種のビオラ
・・・・Viora・・・
スミレ属の学名
園芸種のアネモネ
・・Anemone・・
イチリンソウ属の学名
  同様に・・・サルビア、カンパニュラ、ヒヤシンス、シンビジューム・・・沢山あります
香辛料のタイム
・・Thymus・・
イブキジャコウソウ属の学名
  同様に・・・オレガノ、シナモン、クミン ・・・
医薬品のメントール
・・・Menthol・・・
ハッカ属 "Mentha" の抽出成分なので、学名を変化させたもの


園芸種名のほとんどは、学名を短縮して、園芸業者が売れそうな名前にしたもののようです。
香辛料の名も「伊吹じゃこう草」では漢方薬のような印象になってしまい、売れそうにないですし・・・。

「アネモネ」の名の語源となった学名は・・・

ハナイチゲ (アネモネ) : Anemone coronaria


日本人は言葉を短縮するのが大好きなので、「コロナリア」を勝手に消して「アネモネ」の呼称にしてしまったのでしょう。

和種名は学名に付随する種名です。同じ和種名の植物でも、図鑑により学名が異なることがありますが、その場合、スペックが異なることもありますし、極端な場合、違う植物を指すこともあります。正しく種を判別しても、最後に名前でミスッたら元も子もありません。学名をチョイスする上で、以下、少しでもご参考になればと思います。

2.学名の「つくり」

オオミスミソウの学名です。

Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.
属名
小種名
(1)の
著作者
変種名(2)
(2)の
著作者
品種名
(3)
(3)の 著作者
- 種名(1) -

著作者とは、種名(または亜種以下の各プロック) を定義した論文の著作者、および学名を登録した人のことです。多くの場合共通ですが、異なる場合は前者は( )で括って記述されます。品種の著作者欄にあるM.Hiroeさんはこの学名定義の元となった論文の著作者、Kitam.さん(北村先生の略号)はこの学名の登録者ということです。
著作者名は省略することが許されており、次のように記述することができ、市販の多くの図鑑では次のように記述されています。

Hepatica nobilis var. japonica f. magna


これを絵に描くと次のようになります

学名を見ただけで、オオミスミソウはミスミソウの品種であることがわかります。

文章で変種などと書かれていても学名がそうなっていないものが時折見られますが、学名上表示されていない限り両者の関係は認められていませんので、変種というのは誤りです。(あくまで推定のレベル)

記述の内容と学名を別々に資料から用いると、このような誤りを犯しがちです。


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