学名の見方5


5.活用1(基本)


5.ここまでの応用

1).似たものがわかる

日本には親しみやすい「和種名」がありますから、私のような素人には日常は学名など不要です。
でも、和種名は種から品種まで全てが並列で、分類上のランクがありません。一見「ショウブ」がグループ名で「ノハナ」が小種名のように見えますが、ノハナショウブはアヤメ科、ショウブはサトイモ科で、当てにはなりません。 多くの種を見たいと思えば、ある程度束ねておくほうが便利です。

ハクサンフウロ Geranium yesoense var. nipponicum
イブキフウロ Geranium yesoense var. hidaense
エゾフウロ Geranium yesoense var. yesoense
ハマフウロ Geranium yesoense var. pseudopalustre
グンナイフウロ Geranium onoei var. onoei f. onoei
シロバナグンナイフウロ Geranium onoei var. onoei f. albiflorum
タカネグンナイフウロ Geranium onoei var. onoei f. alpinum

ハクサンフウロ~ハマフウロは同じグループの植物であり、基準種はエゾフウロであることがわかります。一方、グンナイフウロ~タカネグンナイフウロまでは、別のグループの植物で、基準となる種はグンナイフウロであることがわかります。
それぞれのグループの植物はよく似ていますので、どれかを知っていれば他を探すのは容易になります。

2).和種名に翻弄されなくなる

和種名は古典的に、似たもの同士で名を分かち合っているので、分類する上ではあまり役に立たないばかりか、惑わされることもあります。

グンナイフウロでは和名でも関連づけがわかりますが、これはあまり当てにはなりません。

キツネノボタン Ranunculus silerifolius var. glaber
ヤマキツネノボタン Ranunculus silerifolius var. quelpaertensis
ケキツネノボタン Ranunculus cantoniensis

同じ、キツネノボタンでも、キツネノボタンとヤマキツネノボタンは仲間ですが、田んぼにあるケキツネボタンは仲間はずれです。

でも、「シロバナ」とかの名だったら大丈夫だろう・・・と思うと・・・

ショウジョウバカマ Helonias orientalis
シロバナショウジョウバカマ Helonias breviscapa

このようなこともあり、全く別の種とわかります。
シロバナショウジョウバカマは似てはいますがショウジョウバカマの花色が白いものではありません。
同様に、「ホソバ」「ヒロハ」などもそうですし、「ミヤマ」に至っては、多くが学名からは関係が認められませんので、「xxx の高山種」 とは限りません。