学名の見方4


4栽培種・交雑種


4.園芸・栽培種 と 交雑種の表記

1) 園芸・栽培種

人工的に作り出された園芸種や栽培種(野菜など)は、元となる種名を記述し、その後に ' ' で括って園芸(栽培)種名を記します。

例 : カタメンジソ :  Perilla frutescens var. crispa 'Discolor'
  コンギク :   Aster microcephalus var. ovatus 'Hortensis'

従来は、 cf. ***** と記述していたそうで、もしかしたらそのようなものが残っているかもしれませんが、見つけられませんでした。

なお、Y-Listには改良種は少なく、網羅されていないと思われますが、登録せずに商業上の秘密とされているものも少なくないのではないかと思います。また、' ' のない栽培種も多数有ります。

2) 交雑種

自然交雑、人工交配にかかわらず、交雑種は x (小文字です) を挿入します。
同属間の交雑種と異なる属間の交雑種で記述の仕方が異なり、更に独立種とされていたものが後から交雑と発覚した場合と、最初から判っている場合でも異なります。

2-1) 従来独立種として学名登録されていたものが、後に同属間の交雑種と発覚した場合 ・・・・・ 属名と小種名の間に "x" を挿入します。

例1 : ミョウギトリカブト  Aconitum x suspensum
  フジニシキウツギ  Weigela x fujisanensis f.versicilor

2-2) 従来独立種として学名登録されていたものが、後に異なる属間の交雑種と発覚した場合 ・・・ 最初に "x" を記述します。

例 : オニジシバリ x Ixyoungia sekimotoi


オニジシバリは、オオジシバリ(Ixeris japonica タカサゴソウ属) とオニタビラコ(Youngia japonica オニタビラコ属) の交雑種だそうで、オニヒメジシバリ(ジシバリx オニタビラコ)というのもあるようです。滅多に見かけません。
なお分類は、学名の属になるようです。

2-3) はじめから交雑種とわかっているもの ・・・・・父種と母種を併記し、その間に "x" を挿入します。

例2 : キリガミネスミレ  Viola mandshurica x V. patrinii
  マナヅルホタルブクロ  Campanula punctata var. hondoensis x C. microdonta

2つの種が同属の場合は、後者の属名は頭文字+ドットで簡略化できます。
この書式は、表示するだけならば誰でも利用して良いのではないかと思います。

こちらも園芸種、栽培種に非常に多く存在するはずですが、商業上の秘密として伏せられているものが多数あるようで、Y-List に掲載されているものは一部に過ぎないようです。

3) 交雑種の変化型

交雑種の「変種」や「品種」にあたるようなものは、次のように記述します。

例: フギレシハイスミレ Viola x taradakensis エイザンスミレ × シハイスミレ
  フイリフギレシハイスミレ Viola x taradakensis nothof. variegata エイザンスミレ × フイリシハイスミレ
  カワギシスミレ Viola x taradakensis nothovar. eizalacea エイザンスミレ × マキノスミレ


フイリシハイスミレはシハイスミレの品種、マキノスミレは変種ですので、このようになります。