学名の見方3


3.記述ルールの基本

3.記述ルールの基本

1) 種名は、属名と小種名を続けて記述しなければなりません。

 小種名は複数の種で同じ名前が使われていることが多く、単独で使用すると種を特定することが出来ません。

 例 ノアザミ : Cirsium japonicum ですが、同じキク科だけでも小種名が "japonicum" のものは複数あります。

ツワブキ Eupatorium japonicum
フジバカマ Farfugium japonicum
ウスユキソウ Leontopodium japonicum
チチコグサ Gnaphalium japonicum
ミヤマコウゾリナ Hieracium japonicum
カンサイタンポポ Taraxacum japonicum

他の科を入れれば、"japonicum" は100種以上あると思います。

2) 同じ属の植物を繰り返し述べる場合、誤解される恐れがない場合などは、次のように略せます。

Cirsium japonicum ,
C. oligophyllum ,
C. makinoi ,
C. incomptum ,
C. yezoense
ノアザミ
ノハラアザミ
ナンブアザミ
タイアザミ
サワアザミ

最初の1つはフルで記述し、以降は頭文字+ドットで略せます。

3)下位レベルの表示

5つの階層で分類されてます。(右図)

従って、学名も、種、亜種、変種、亜変種、品種の順に記述し、更に人工的に改良された種などは、それ以下に記述されます。

◆ 種名に続く記号
subsp.
(ssp.)
(subspecies)
亜種
=基本種や他の亜種と分布が共通でない変異種 ssp.と略される場合も多い。
var. (variety)
変種
=基本種や他の亜種・変種と共通した分布をする変異種
subvar. (subvariety)
亜変種
=変種を複数に再分類する場合に用いる (滅多に使用されない)
f. (form)
品種
=上位種と異なる形態を持つが、生殖的に隔離されていないもの
'...'  
改良種
 従来はcf.で記載されていたようですが、改められたようです。...の部分に園芸種名が入ります。

subvar. は現在、被子植物ではほとんど使用されていませんが、数種でまだ使用されています。

例 : マルミウマゴヤシ : Medicago murex var. aculeata subvar. sphaerica


subvar. 以外、全部使われていることは希ですが、やっと見つけました。

例 : ニッコウクルマバナ :  Clinopodium chinense subsp. grandiflorum var. parviflorum f. setilobum
ヒメクモマグサ : Saxifraga bronchialis subsp. funstonii var. rebunshirensis f. togakushiensis
和種名
種名
亜種名
変種名
品種名